導入事例

福島工業高等専門学校

文理融合が進む高専、女子のIT人材育成をめざしてレノボ・ジャパンとGoogle、ティーガイアがプロジェクトを実施

導入について

「高専」と呼ばれる高等専門学校は、一般的に工学系に強い男子が多く集まっているというイメージがありますが、近年は文理融合の動きが進み、女子学生の割合も全体の約2割まで増えてきています。

そんな高専で学ぶ女子高専生がChromebook™の活用と利便性を探究すべく、レノボ・ジャパンとGoogleとティーガイアの3社共同プロジェクト「Chromebook™の活用方法・利便性に関する実証プロジェクト」に挑戦。取り組んだのは、福島工業高等専門学校ビジネスコミュニケーション学科の20名で、女子高専生ならではの視点でChromebook™の活用が広がるアイデアを提案しました。


今回のプロジェクトに取り組んだ福島工業高等専門学校ビジネスコミュニケーション学科の学生たち



文理融合型教育が進む高専。ICTを活用して課題解決できる人材育成をめざす

2023年時点で全国に58校ある高等専門学校(以下、高専)。工学系のイメージが強い高専ですが、近年は産業構造の変化や文理融合型教育の推進を受けて学科も多様化し、女子の進学者が増えています。

福島工業高等専門学校(福島県いわき市 / 以下、福島高専)もそのひとつで、同校のビジネスコミュニケーション学科は7割が女子高専生。

福島工業高等専門学校
ビジネスコミュニケーション学科
芥川一則教授

同科の芥川一則教授は、「高専といえば、コンピューターやプログラミングに強い男子が集まっていると思われがちですが、そんなことはありません。最近では女子の進学者も増えていますし、男女関係なくICTが得意ではないという高専生も多くいます」といいます。そんな同科の高専生たちですが、普段からICTをツールとして積極的に活用したり、アプリケーションのスキルを身につけたりしながら、ビジネスパーソンとして活躍するために幅広い分野を学んでいます。

「めざしているのは、ICTを活用して課題解決できる人材の輩出です」と芥川教授。「プログラミングができることも大切ですが、多くの人が仕事で求められているのはICTを使って課題を解決できる力。本科では5年間で専門分野を学びながら、高専生たちはICTスキルをしっかり身につけ、就職の求人も20倍を維持しています」と語っています。


女子高専生が考えるChromebook™の活用を広げるために必要なものは?

今回の取り組みでは、ビジネスコミュニケーション学科の本科3年生、本科4年生及び専攻科1年生を中心に計20名がレノボ・ジャパンとGoogleとティーガイアの共同プロジェクト「Chromebook™の活用方法・利便性に関する実証プロジェクト」に挑戦しました。Chromebook™の活用方法や利便性に着目し、女子高専生の視点でどうすればChromebook™の利用が広がるのか、そのアイデアを考えて、東京・渋谷のGoogle本社で発表するという取り組みです。参加したメンバーは全員がChromebook™を使うのは初めて。レノボ・ジャパンからは「Lenovo Duet Chromebook Education Edition」が、Googleからは「Google Workspace for Education」が貸与されました。

Lenovo Duet Chromebook Education Edition


女子高専生たちはチームで取り組み、まずは日常生活においてChromebook™を使うところからスタート。自分たちが操作性や利便性の良さを実感しながら、同じ年代の学生にChromebook™を使ってもらうためには何が必要なのか、どのようなポイントを訴えるべきかを考えます。チームの活動は、基本的にオンラインで実施。忙しい高専生が教室に集まって作業を進めることはむずかしいため、共同編集しやすいGoogle Workspace for Educationやデザインプラットフォーム「Figma」を利用して意見交換やスライド作成に取り組んだといいます。

Google本社での発表の様子


Google本社での発表は、チームごとに考案したアイデアをプレゼンテーション。高専生たちは、Chromebook™の操作マニュアル動画やゲーミフィケーションを駆使した学習アプリ、さらには授業や学校生活、家庭学習や就職活動などシーン別にChromebook™の活用を伝える動画を提案しました。

グーグル合同会社
Jack Kwok氏

女子高専生に話を聞くと、「Chromebook™はネット上に多くの情報がありますが、私たちの生活や学校で利用をイメージできるものが少なく、シーン別のPR動画があればもっと活用が広がると考えました」と話しており、学校での具体的な活用場面を多く取り入れた動画を披露しました。

こうした女子高専生の発表に対して、Googleの社員が良い部分や改善点などをアドバイスしました。

同社のJack Kwok氏は、「自分のアイデアがようやく形になり、プレゼンテーションできるのはワクワクする体験です。これからも自分がワクワクすることを作り、ほかの人に良い影響を与えられるようになってください」と学生にエールを送りました。


女子高専生にとってのChromebook™は、スマートフォンとPCをつなぐデバイス

今回のプロジェクトで初めてChromebook™を体験した女子高専生たち。彼女たち自身はChromebook™のどのような部分にメリットを感じたのでしょうか。専攻科1年生の渡邉順子さん、本科5年生の荒川桃花さん、本科3年生の丹野美晴さんに話を聞きました。

左から渡邉順子さん(専攻科1年生)、荒川桃花さん(本科5年生)、丹野美晴さん(本科3年生)


3名から第一声で聞かれたのは、Chromebook™が持ち運びしやすいこと。

「Chromebook™はサイズ感がよくて、バックの中でもかさばらずすっきり収まるのがいい」という意見や、「外出先で課題をするとき、スマートフォンの画面では小さすぎるし、かといって、PCを持ち歩くのも大変だと感じていたのですが、Chromebook™はスマートフォンとPCをつなぐようなデバイスで使いやすいです」という意見が聞かれました。今回、プロジェクトに参加した女子高専生の中には、スマートフォンで使う外付けキーボードを持ち歩いている学生もいることを考慮すると、彼女たちにとってChromebook™は、PCというよりもキーボード付きのスマートフォンという感覚で使われるデバイスなのかもしれません。Chromebook™を「スマートフォンとパソコンをつなぐデバイス」と話す女子高専生の言葉に納得感がありました。

またGoogleのアプリケーションを利用することでスマートフォンとChromebook™の連携がしやすいこと、Chrome OSからGoogleのアプリケーションが使いやすいこと、さらには共同作業しやすいことなど、さまざまなメリットを語ってくれました。ほかにも、普段からスマートフォンを使いこなす女子高専生ならではの目線として、「画像や動画編集などスマートフォンでできることが多いので、モバイル端末としてChromebook™を活用するときは高スペックである必要はないと思います」という意見も。端末のスペックよりも、むしろスマートフォンとの連携やクラウドサービスの使いやすさ重視している、そんな志向も見受けられました。

女子高専生たちが作った動画入りスライド。「Chromebook™では共同編集しやすいのがメリット」とコメント


芥川教授はChromebook™について、これからの学生たちは、いかに普段の学習からデータやクラウドを活用できるかが重要で、Chromebook™を使うことはクラウド利用を学べるよい機会になるといいます。「普段の学習においても学生たちは、紙のプリントをOCR機能のあるアプリで読み取ってデータ化してクラウドに保存したり、さまざまなレポートや資料をクラウドに保存して共同編集したりしています。これからの学生は自分の学習資産をクラウドでどのように管理・活用していくか、そんなスキルを身につけておくことも大切で、Chromebook™の活用を通して、クラウドを意識した活用方法や利便性に目を向けてほしいと考えています」(芥川教授)。

企業との関わりが女子高専生を刺激できる、IT人材育成に求められる産学の連携

レノボ・ジャパンとGoogleとティーガイアの3社で実施した今回のプロジェクト。取り組みの背景にあるのは、女子のIT人材育成が大きな教育課題になっていることが挙げられます。高専全体としても以前から理系女子を育成するプロジェクトに取り組んでいますが、文理融合型教育が進む今は、さらに多様な取り組みが求められています。

芥川教授は今回のプロジェクトを振り返って、女子高専生が民間企業と接点を持てたことに価値があったと述べています。「女子のIT人材育成の取り組みといえば、キャリアセミナーや論文コンクールがほとんどで、女子高専生が企業と関わりを持てる機会が少ないことに課題を感じていました。民間企業がどのような課題解決や研究に取り組んでいるのか、また高専生たちがどんな研究に取り組んでいるのか、互いを知る交流の機会を作ることができれば高専生たちの刺激になると考えています。少子化の中、優秀な人材を育てられるよう教育環境の在り方を産学で密に連携していきたいです」と語っています。

グーグル合同会社
川上浩二氏

Googleの川上浩二氏は、「Googleとしても、これからの働き方や学び方をアップデートしていくためにさまざまな情報を提供していきます。女性のIT人材、特にエンジニアは相対的にまだまだ少ないのが現状で、コンピュータサイエンスを学ぶ若手や、この業界に入ってきてくれる女性が増えるよう、取り組みを進めていきたいと思います」と語りました。

レノボにおいても、これまで女子中高生への支援はグローバルで積極的に行われています。たとえば、世界を変える10人の若い女性に光を当てるプロジェクト「New Realities」を始め、Give2Asiaを通じたLenovo Foundationによる支援をNPO法人女子中高生理工系キャリアパスプロジェクト(GSTEM-CPP)に提供。国内でも女子中高生向けの出張授業を実施してきました。今後も女子のIT人材育成に向けて支援を継続していく予定です。


Chromebook™の活用を通して、学校の枠を飛び出し、視野を広げた女子高専生たちが、ITを武器に社会で活躍できる女性に成長していくのが楽しみです。


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